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後ろに乗っていたのは、、 [心霊]

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青山くんから聞いた話。

青山くんは上田くんが新車を買ったので二人で箱根のターンパイクに車ならしにドライブに行った。

この道は深い霧が立ち込めるので有名だ。

季節は梅雨前だった。

霧の中ノロノロと車を進めていた。

霧はかなり深く、10メートル先もはっきりしない。

やがて、霧が少し晴れて先が見通せるようになって来た。

しばらく進むと、前を人影らしきものが見えてきた。

近づいて行くと道路脇を黒っぽい服を着た長身の女性と幼稚園児くらいの男の子が手をつないでこちらに背を向けて歩いていた。

この道を徒歩で歩く人はほとんどいない。

「車の故障かな?」「うん、聞いてみようか」

その母子に近づいて行った。

もう、数メートルに近づくと。

親子は振り向いた。二人とも表情の無い顔だった。

と同時に、上田くんが急にアクセルをふかし車を急発進した。

「ばか、危ないじゃないか」と青山くんは上田くんをたしなめた。

「だって、あれ、、」と言ったまま上田くんは口をつぐんでしまった。

確かに通り過ぎる時、表情の無い顔で車の中を見入っていた女性を思い出すと上田くんが何を言いたいか悟った。

二人とも何かゾッとするものを感じていた。

だが、その日は他には何も変わったことは無く無事に家に戻った。


それから二ヶ月後の夏休み。

田沢湖に二人でその新車でドライブ旅行に行った。

そして、湖畔の旅館に泊まった。

夕食が終わり、部屋で酒を飲んだ。夜中になり明日のコースを確認しようと上田くんは旅館の駐車場においた車に地図を取りに行った。

しばらくすると、彼が戻って来た。

真っ青な顔をして何かを言おうとしてるが言葉にならない。

やっと「車を開けたら箱根で会ったあの母子がバックシートに乗って俺を見ていたんだ」と言い、残っていた酒を一気に飲むと布団を被ってしまった。
真っ暗な中、バックシートにもたれかかり、白く光った目でジッと上田くんを見上げていたと言う。

次の日、上田くんは車に乗りたくないからバスで帰ると言って車をそのままにして本当に帰ってしまい、青山くんは一人で鉄道旅行を続けたとのことだった。

旅館の駐車場に置き去りにした新車はその後どうしたかは聞いてない。

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