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ナースキャップ [不思議な話]



二十数年前、僕は築地にある某病院で目の手術をした。

最初は右目を手術をしてから一旦退院して半年後に左目をする。

12月であった。手術をしてから、数日たったときのことだ。 病室は個室であったので比較的自由に夜更かしができた。


僕は右目が包帯で覆われていたが左目ではっきり見ることができた。 その日、本を読んでいた僕は12時も過ぎると流石に眠くなって来たので灯りを消してまどろんだ。 看護婦は2時間おきに懐中電灯を持って見回りに来る。

多分、午前三時過ぎ、何回目かの見回りの気配がした。

薄目をあけて扉の方を見ると、、ナースキャップを被った見覚えの無い看護婦が立っていた。 僕は何か違和感を覚えたが、「どなただっけ」と声をかけた。


看護婦は、「はよう、おやすみを、、」とだけ言い扉を閉めて去った。 寝ながら違和感の原因を考えた。 そうだ、この病院の看護婦は誰もナースキャップをしない、数年前に廃止したのだ。 そうは言ってもまだしてる看護婦はいるんだな、と勝手に納得して眠りに入った。


朝になると看護婦が検温に来る。

「昨日は知らない人が夜勤だったね。ナースキャップを被っていた」 その看護婦は目を見開き「この病院にはナースキャップをする看護婦はいません」とだけ言い口をつぐんで出て行った。


後で聞いた話では僕の前にいた患者も全く同じことを言ったそうだ。


終わり

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